Q15 レストランの店名について商標登録を受けられますか
- レストランの店名はサービス業務に属するサービスマーク(役務商標)として商標登録を受けることができます。
広義の商標としては、商品に付される商標(商品商標)とサービス業務に付される商標(サービスマーク)の2種類がありますが、サービスマークについては長年不正競争防止法によって保護されておりました。
しかしながら、不正競争防止法では周知性及び誤認混同の有無等が要求されるため、この法律のみでは権利者の保護に欠けるおそれがあること、および権利侵害に対し商標権に比し権利者の負担が大きいという問題点がありました。
また、パリ条約上からも「サービスマークを保護することを約束する」旨の規定があり、そのような事情から1992年(平成4年)4月からわが国においても、サービスマークの登録制度が開始された次第です。
お尋ねのレストランは類似商品・役務審査基準(特許庁商標課編)の第43類飲食物の提供に属しますが、サービス業務の例としては、その他例えばホテル業、銀行業、運送業、証券業、建設工業など商品を伴わないサービス業務一般について商標登録を受けることができます。
- サービスマークとして出願された場合には、商品商標の商標出願と同様、商標法が適用され審査官によって審査されます。
商標権を取得するためは、先願主義が適用され、当該商標出願前に他人の登録商標又は類似する商標であって、サービス内容が同一若しくは類似する場合には後願として商標登録を受けることができません(商標法第8条第1項及び第2項)。
そのほか、サービス内容等を普通に用いられる方法で表示している商標やサービスを提供している場所等を普通に用いられる方法で表示している商標は商標登録を受けることができません(商標法第3条第1項第1号〜第6号)。
- 2016年1月5日付け日本経済新聞夕刊に「日本食店世界が舌鼓」と題して、世界で日本食店(レストラン)が急増している旨が紹介されておりましたが、海外進出に際しては当該国でのサービスマーク登録制度について事前に調査及び登録性の可否について検討しておくことが知財戦略からも不可欠かと思います。