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Q14.商標の類比判断基準について
  1. 商標法第8条には、「同一又は類似の商品又は役務について使用する同一又は類似する商標について異なった日に二以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人にみがその商標について商標登録を受けることができる」と規定されています。

     この規定は商標登録出願について先願主義を規定したものでありますが、この規定において「類似する商標」という概念が規定されており、類似商標とは何か、は実務上常に問題になります。

     この商標法上の類似性と特許法上の進歩性の判断は極めて類似しており、この商標の類似性判断については審査段階、審判段階及び知財高裁で異なる場合が多々あります。その理由は進歩性及び商標の類似性判断については「裁量の幅」があるからです。

     特許庁からは類比判断に関して「商標審査基準」(特許庁商標課編)が出されておりますが、審査基準通りの実務というケースはほとんどありません。

     しかしながら、商標の類比判断の基準は商標の有する外観(形状)、称呼(発音)及び観念(意味)を基準とするとされており、少なくとも審査基準では外観、称呼及び観念の一部において類似する商標は類似商標として扱われており、類似商標が先に登録若しくは出願されていた場合には登録を拒絶されるケースがあります。

     しかしながら、審判段階及び知財高裁では出願商標の使用実績あるいは指定商品等、実際の経済活動を勘案して判断され、審査段階と審判段階あるいは知財高裁の段階で判断が異なるケースがあります。

     また、商標の類比判断に際しては、商品の類比が判断されますが、原則として「類似商品・役務審査基準」(特許庁商標課)によるものとされております。
    すなわち、商標の類似は出願商標の標章の類比及び指定商品・役務の類比によって判断されます。

     弊所の例ですと、他事務所で当初「文字」のみからなる商標を出願したところ、拒絶査定となったため、その後弊所にて相談を受けました。相談内容を検討してみると、実際の商標は「文字」のみだけではなく、「図形」と一体になって長年使用していることが判明致しましたので、その「文字」と「図形」を一体とした結合商標として新たな商標として出願したところ、審査段階では拒絶になりましたが、審判段階では登録査定となりました。

  2. 商標は長年使用されることにより、その商標に信用が化体され、消費者は次に商品を購入する場合にはその商標を付した商品あるいは看板を見て購入するという購買姿勢があります。
    したがって、長年使用してきた商標には多大な財産的価値があり容易に商標を変えることができないことがあります。 

     そのような場合には引例商標の使用状態を調査して、若し引例商標が継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれもが指定商品等に使用していない場合には、不使用による取り消し審判を請求して、その引例商標を取り消して出願商標を登録することができます。

     なお、登録商標を使用しているか、どうかの証拠は商標権者に挙証責任がありますので、審判請求は容易にできます。

  3. 商標の類比判断は審査基準上、上記のように、外観、称呼及び観念により判断され、そのひとつでも類似しておれば類似商標と判断されますが、最高裁判例で「氷山印事件」という判決があります(昭和38年「行ツ)第110号)。

     この判決は商標の類比は両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所に誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それにはそのような商品に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする、と判示したものであります。

     この事案は「氷山印」という商標と特許庁が引用した「しょうざん」という商標の類比が争われた事件ですが、最高裁は「商標の類比は商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるか、否かによって決すべきであると判断したのち、商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品の出所につき、出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準に過ぎず、従って、右三点のうちその一つにおいて類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他の取引の実情等によって、何等商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない」と判示したものであります。

     すなわち、この最高裁判決は商標の類比判断に際しては取引の実情をも勘案して判断すべきであり、商品の出所について誤認混同をきたすおそれのない、と認められる場合は非類似商標として登録を認めるべきである判示したものであり、この判決は取引の実情を勘案したもので、正鵠を得たものであります。
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