きずな国際特許事務所

重要判例
スタッフ紹介
中国知財関連
事務所のご案内 スタッフのご紹介 知財研究 お問い合わせ
  TOP知財研究トップ >中国特許に関するQ&A

中国特許に関するQ&A

 

 2001年12月のWTO加盟以降、中国は巨大市場として今もなお経済成長を続けています。
反面、知的財産保護の観点から見ると、当局による摘発が増大しているものの、模倣品や海賊版が堂々と流通しており、日本をはじめ中国に進出している外国企業の多くが被害を被っているのが現実です。
そのような中国において事業展開を考えているクライアント様から、弊所にいただいているお問い合わせについて代表的なものを以下のようにまとめてみましたので、貴社のご参考になれば幸いです。

<進出前の準備編>
Q1

現地法人はまだ設立していませんが、今後中国に進出しようと考えています。事前に中国で特許を権利化したいのですが、どのようなことに注意したらよいでしょうか。

   
A  

まず、現地法人がない場合、中国国家知識産権局(SIPoC)の指定を受けた現地代理人を通じないと出願ができません。
また、出願するときの言語は中国語のみが認められているので、初めて出願する際は中国語による出願人名称等を決めておく必要があります。
弊所ではSIPoCの指定を受けた現地代理人の中でも、特に経験と実力のある複数の現地代理人と取引関係を有し、貴社出願の技術分野に柔軟に対応いたします。

Q2 特許出願をする際、事前に用意する必要があるものは何でしょうか。
   
A  

現地代理人を通じて手続きをする場合、中国語の委任状が必要となります。なお、その委任状は認証を要しません。

Q3 出願をして最終的に登録されるまでどの程度時間がかかるでしょうか。
   
A  

中国では、日本と同様、審査請求制度を採用していますので、登録を受けるためには、審査請求しなければなりません。
審査に要する時間は、技術分野や出願内容によって異なりますが、拒絶理由もなく、中国国家知識産権局(SIPoC)の最初の通知が特許付与の決定通知であるような最短の場合で、2年程度を要します。

Q4 出願時に費用はどれくらいかかるでしょうか。
   
A  

現地における出願費用として、現地代理人の手数料及び印紙代が発生いたします。
具体的には、国内出願の日本語の明細書を現地へ送付し、これを現地で中国語へ翻訳して中国出願を行うものとし、この国内出願の明細書を10頁程度と想定しますと、出願時には、上記明細書の日本語から中国語への翻訳費用を含む現地代理人手数料として3,000ドル(日本円で360,000円)程度、印紙代300ドル(日本円で36,000円)程度を要します。
注)1ドルを約120円として計算しております。以下同じ。

Q5 特許出願をしてから、審査請求はいつまでにすればよいでしょうか。 また、その際の費用はどのくらいかかるでしょうか。出願から登録までどの程度の期間がかかりますか?
   
A  

審査請求の期限は、優先日又は出願から3年以内に行わなければなりません。
その際、現地代理人手数料として320(日本円で38,000円)ドル程度、印紙代として140(日本円で17,000円)ドル程度が必要となります。
なお、出願から3年を経過すると、毎年出願維持年金が必要ですが、実際には出願が特許付与された時に、付与された年までの維持年金をまとめて納付することになります。

Q6 中間処理時に費用はどのくらいかかるでしょうか。
   
A  

中間処理発生時には、処理内容によって幅がありますが、意見書・補正書の作成並びに提出の作業を含む現地代理人手数料として1,000〜1,500ドル(日本円で120,000〜160,000円)程度を要します。

Q7 登録時に費用はどのくらいかかるでしょうか。
   
A  

登録時には、現地代理人手数料として360ドル(日本円で44,000円)程度、印紙代300ドル(日本円で36,000円)を要します。

 
<困ったことが起きた編>
Q8 輸入代理店を通じて現地で製品を販売しておりますが、現地からわが社の模倣品が市場に出回っている、との報告を受けました。何とか模倣品の販売を止めさせたいのですが、何をしたら良いのでしょうか。 なお、現地では製品の特許権を取得済みです。
   
A  

どうすればよいか分からないけれどとにかく困っている場合は、公的な相談窓口で相談されることも一つの有効な手段です。 例えば、経済産業省は「政府模倣品・海賊版総合対策窓口」を設置しており、相談の内容に応じて無料の相談窓口も紹介されております。
相談をした後におおまかな対処の方向性が決まったら(例えば業者を特定するための実態調査、業者に警告書を発する、権利侵害として訴えるなど)、侵害訴訟などの事件の経験豊富な現地代理人とコンタクトをとり、毅然とした態度で問題の解決に当たることが肝要かと思います。


Q9

現地でわが社の模倣品を取り扱う業者に対し、法的措置を取りたいのですが、有力な現地代理人とコンタクトを取るにはどうしたらよいでしょうか。

   
A  

中国特許法が生まれたのは1985年で、施行からわずか20年程しか経過しておりません。そのため、現地の実情を知らないと、必ずしも実力や経験・ノウハウを豊富に蓄積した代理人と連絡を取れるとは限りません。
弊所では、中国に最も古くからある特許事務所の一つで、Patent Attorney  150人を擁し、ニューヨークや東京、ミュンヘンにも支部を置く中国有数の特許事務所など、複数の現地代理人と長年にわたり取引関係にあり、自信を持って貴社の案件・ご要望にお応えいたします。


Q10

模倣品業者が摘発されたはずなのに、一向に模倣品被害の収まる気配がありません。何故でしょうか。

   
A  

模倣品業者には大きく分けて「製造」と「販売」の形態があります。

「販売」を摘発しても、いわば「トカゲの尻尾切り」と同じで、大元である「製造」が摘発されない限り、新たな「販売」がどんどん出てきてしまいます。 したがって、模倣品業者、中でも「製造業者」を摘発することが肝要です。

そのためには、現地の調査会社*を利用するなどして、模倣品の出所や流通経路の実態などの事実関係を調査し、証拠を収集します。そして、行政手段に訴える(当局への摘発要請)、あるいは司法手段である民事訴訟の提起、差止、損害賠償等の請求などをして、「模倣品は一切容赦しない」という貴社の毅然とした対応を示しましょう。

*…中国の調査会社は表向きにはコンサルタント会社として業務を行っています。調査依頼の際には、信頼の置ける会社に依頼するよう留意すべきです。


Q11 模倣品や海賊版への根本的な対策はないでしょうか。
   
A  

残念ながら、中国での模倣被害などは発生することを前提として考えなくてはなりません。

例えば、経済産業省の「政府模倣品・海賊版総合対策窓口」によれば、模倣品・海賊版のトラブルを未然に防ぎ、被害を最小化するためには、現地での権利化及び「模倣品・海賊版は絶対に看過しない」という、貴社の毅然とした対応が必要になります。

模倣品業者に対して法的措置を取るということは、時間的・人的・経済的なコストがかかる一方、回収できる損害賠償金額が必ずしも費用対効果に見合うものとは限りません。そのため、法的措置を断念した方が、一見、経済的合理性にかなっていると思われることもあるかも知れません。

しかし、それでも模倣品・海賊版対策を徹底して実践することを継続していくことで、「模倣品業者には断固たる措置を取る会社である」という評判を業界や市場で確立できれば、模倣品業者は貴社の模倣品・海賊版を作ることは割に合わないと考えるようになり、貴社にとっての将来の模倣品・海賊版に対する抑止力として働くようになります。

これは、長期的には、強力な模倣品・海賊版対策となります。
他方、貴社が安易な妥協を繰り返していくと、模倣品業者からは「あの会社は何も言ってこない」と高をくくられ、模倣品や海賊版の出現は、貴社の製品の模倣品・海賊版に集中する現象が見られるようになってしまいます。従って、中国進出の際はある程度の長期的展望に立ち、模倣品・海賊版対策のコストも、あらかじめ見込んでおくことが望まれます。


 
<出願書類等作成編>
Q12 出願書類等を作成するうえで、日本と中国とで何か違いはありますか。
   
A  

中国特許法においても、発明の新規性、進歩性、単一性などが特許要件であるという点では、日本と大きな違いはありません。明細書は、発明の属する技術分野の技術者がその発明を実施できる程度に、明瞭かつ完全に記載しなければなりませんし、先行技術文献の開示等の記載も必要です。

ただし、中国における新規性の判断基準として、「混合新規性」が採用されており、日本とは異なりますので、注意が必要です。

「混合新規性」とは、刊行物により公表されたものは、中国国内又は国外を問わず新規性なし、として、また、中国国内で公知公用又はその他の方式で公衆に知られたものについても新規性なし、としてそれぞれ特許は得られませんが、中国以外の他国で公知公用その他の方式で公衆に知られたものについては新規性あり、として特許を得られます。

このような、「混合新規性」と同一の特許制度は我が国の古い特許法の中にありましたが、現在の我が国の特許制度は世界公知を採用しており、出願前に刊行物により発表したり、また我が国以外の国で公知公用になった場合にも新規性なしとして特許を得られませんので、ご注意下さい。


担当(弁理士 和田 成則