きずな国際特許事務所

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仮専用実施権及び仮通常実施権の設定登録について


法律改正のご案内

仮専用実施権及び仮通常実施権の設定登録について

 特許法の改正により出願中の発明について、仮専用実施権及び仮通常実施権の設定登録が認められました。

(1) 改正の趣旨

 

 特許法等の一部を改正する法律が平成21年4月1日から改正・施行・施行されました。
  特に特筆すべき点は、今まで認められていなかった特許出願中の発明について仮専用実施権あるいは仮通常実施権の設定登録が認められたことです。
  その趣旨は知的財産権の戦略的な活用及び適正な保護を図るためでありますが、例えば、大学TLOや中小ベンチー企業等で出願段階において実施許諾を結ぶケースがあり、その場合ライセンシーを保護する必要があり、弊所においてもそのような相談を受けたことがあります。

 

(2) 改正内容

 

 特許法第34条の次に次のような条文が加えらましたが、分かりやすくするため、その要約を以下に記載します。

 
 
第34条の二 (仮専用実施権)
  1. 特許出願人は願書に記載した特許請求の範囲または図面に記載した範囲内において、仮専用実施権を設定登録することができます。
  2. 仮専用実施権に係る当該特許出願について特許権が発生した場合には、その特許権について専用実施権が設定されたものとみなされます。
  3. 仮専用実施権は発明の実施の事業とともに、あるいは出願人の承諾及び相続等の場合に移転することができます。
  4. 仮専用実施権を受けた者は、特許出願人の承諾を得た場合には他人に仮通常実施権を許諾することができます。
  5. 特許出願について特許出願の分割があった場合、分割した特許権について仮専用実施権が設定されたものとみなされます。
  6. 仮専用実施権は当該特許出願について特許権の設定登録があった場合、当該特許出願が放棄、取り下げ若しくは却下または特許出願に拒絶査定、若しくは拒絶審決が確定した場合には消滅します。
第34条の三 (仮通常実施権)

仮通常実施権については上記仮専用実施権の条文とほぼ同一ですので、詳細は省略します。

第34条の四 (登録の効果)

 仮専用実施権の設定、移転、変更、消滅または処分の制限は登録をしなければ効力を生じません。すなわち、登録が効力発生要件ですのでご注意下さい。

第34条の五(第三者対抗要件)

 仮通常実施権はその登録をしたときは、当該特許出願、仮専用実施権等をその後に取得した者に対し、対抗することができます。すなわち、仮通常実施権の登録は第三者対抗要件になりますので、登録しないと特許出願が譲渡された場合には新たな特許出願人には対抗できませんのでご注意下さい。

2 仮通常実施権の移転、変更、消滅または処分の制限は登録しなければ第3者に対抗できません。

第35条(省略)
第38条の二(特許出願の放棄または取り下げ)

 特許出願人は当該特許出願について仮専用実施権または登録した仮通常実施権を有する者があるときは、これら実施権者の承諾を得ない限り、当該特許出願を放棄または取り下げることができません。

(注)

  1. 弊所においても、特許出願中の発明について出願人から実施許諾をしたいが、どうすればよいのか、相談を受けたことがありました。しかし、出願中の発明については従来登録制度がありませんので、その場合の対応は単に当事者間で契約するのみで、第三者対抗要件はありませんでした。このたびの改正により出願中の発明について登録制度が創設され、第三者対抗要件を得られたことはライセンサー、ライセンシーにとっても安心して発明を実施・事業化できるのではないかと思います。
  2. 実用新案法には仮専用実施権及び仮通常実施権の設定登録制度はございませんので、ご留意下さい。
  (担当弁理士 和田成則)