主に電子機器等のスイッチを製造・販売するC社は台湾において特許権を取得しておりますが、台湾にてC社の特許権を侵害する第三者の存在が判明したため、C社はその侵害者に対して侵害排除等を求めた警告書を出しました。 事件当初、侵害者はC社の主張を認めて和解による解決を図る姿勢を見せていましたが、侵害者は密かに侵害商品について実用新案権の取得を画策しておりました。 台湾の実用新案権制度においてはいわゆる無審査主義*1を採用しており、C社との交渉の裏で侵害者は実用新案権を取得したことを奇禍として、「当方は実用新案権の行使をしているに過ぎず、貴社の特許権を侵害していない」旨の反論をしてきました。
C社の台湾代理人と協議した結果、何としても相手方の侵害行為を止めさせ、和解交渉を有利に進めるためにも、侵害者の取得した実用新案権を潰さざるを得ない、との結論に至りました。
そして、侵害者の実用新案権に対して「この権利は、○○という理由で有効でない」旨を請求する「無効審判」の法制度を利用し、相手方の権利を無効化することに成功しました。
本件は台湾の実用新案権の存在により事件解決が遅れましたが、台湾で特許権をカバーするためには、特許権と実用新案権の両方の取得が必要かと思います。