B社は、戦後個人で呉服店を開業し、現在は呉服専門店として東京を中心に全国展開しておりますが、2005年当時、B社のハウスブランド*1「○○屋」なる屋号が権利化されていないことが判明しました。 相談を受けた弊所は速やかな商標出願を進言し、B社は商標出願したところ、特許庁から「本願商標はありふれた屋号である『○○屋』の文字を書してなるにすぎず、商標としての自他商品識別力*2を有しない」との拒絶理由*3により、B社の「○○屋」は拒絶されてしまいました。
このような場合に、自他商品識別力を有する旨を意見書*4において主張し、審査官に反論することも可能でしたが、今回のケースにおいては「商標法第3条第2項」*5という例外規定を利用し、商標登録に挑みました。
「商標法第3条第2項」は非常に強力な武器となる一方で、これを利用するためには多大なコスト(人的・時間的・経済的)を要するため、B社にはその旨を説明して了解を得、必要となる証拠資料等をB社に手配して頂きました。
法律上の「例外規定」を活用することは原則に反するものであり、その適用は非常に厳格です。 長年企業の顔として使用されてきた「ハウスブランド」は、会社が存続している限り余程のことがない限り変更はできないものですから、このハウスブランドの保護・確立は会社存続にとって不可欠かと思います。 ハウスブランドを大切に、また大きな財産的価値を有するものです。