原告は、指定商品「葡萄、その種子、乾葡萄」、商標「巨峰」からなる商標権(第472182号)の専用使用権者であり、一方、被告は、紙の加工、紙及び紙加工品の販売等を業とするものであり、「巨峰」の文字を表示したぶどう出荷用包装資材を製造、販売していました。
原告は、被告の当該行為が商標権の侵害行為に該当すると主張するのに対し、被告は、登録商標の「巨峰」の語は、ぶどうの一品種を表す普通名称であると反論致しました。
主な争点は、@「巨峰」という語は、ぶどうの一品種である本件品種のぶどうを表す普通名称(商標法第26条第1項第2号)に当たるか A被告標章は、普通名称を「普通に用いられる方法」(商標法第26条第1項第2号)で表示するものか という2点でした。
被告が「巨峰」というのは、ぶどうの一品種を示す普通名称であると反論するのに対し、原告は、本件品種を表す普通名称は「巨峰」ではなく「石原センテ」である旨を種々の証拠資料を基に主張致しました。
これに対し、裁判所は、「巨峰」という語は、特定の業者の商品にのみ用いられるべき商標であると認識されておらず、ぶどうの一品種である本件品種のぶどうを表す一般的な名称として認識されているものと認められる。従って、「巨峰」という語は、ぶどうの一品種である本件品種のぶどうを表す普通名称(商標法第26条第1項第2号)に当たると認めるのが相当であり、よって、被告の当該行為は商標権侵害行為に該当しないと判断しました。
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