きずな国際特許事務所

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「自炊代行」事件

判例30 BEAMS事件

 本件判決は新田次郎氏など著名な作家、漫画家等7名が原告となって、「自炊代行」業務を行っているスキャナー業者を被告として、この業務が著作権侵害行為に該当するや、否やについて争われた事件で、東京地方裁判所はスキャナー業者に140万円の損害賠償と命じると共に業者にスキャナーによる複製を禁止した。

   平成25年7月4日     口頭弁論終結日
   平成25年9月30日    判決言渡日

pdfファイル東京地裁 平成24年(ワ)第33525号(PDF/234Kb)

<弊所コメント>

  1. 「自炊代行」とは一般的には耳慣れない言葉ですが、著作権法上「依頼人から本や雑誌等について電子化ファイルの依頼があった場合、権利者の許諾を受けることなく、スキャナーで本や雑誌等の書籍の内容を読み取って電子ファイルを作成し、有料でその電子ファイルを依頼者に納品する行為」と定義されているようです。
     本件事件はこのような「自炊代行」業務が著作権侵害かどうか争われた事件で、東京地方裁判所は著作権侵害行為に該当すると判断して、スキャナー業者である被告に損害賠償と書籍の複製行為を禁止したものです。
     なお、「自炊代行」行為そのものの適否について判断されたのは本判決が初めてであります。なお、業としてではなく、自分で書籍をスキャンして、個人で行う「自炊行為」は全く問題ありませんのでご安心下さい(著作権法第30条)。

  2. 「自炊代行」行為について、裁判所は、(1)利用者はウェブサイトにおいて無料会員登録をした後、会員ページにログインして利用を申し込む。(2)対象の書籍はA4サイズまでの書籍である。(3)サービス料金は1冊200円、書籍到着後7〜10日である。(4)利用者は書籍を指定された住所に送付する。(5)被告は書籍を裁断した上で、スキャナーで読み取ることにより、書籍を電子的方法により複製して電子ファイルを作成する。(6)完成した電子ファイルは利用者がインタネット上のダウンロード用サイトからダウンロードするが、希望により電子ファイルを収録したDVDを配送する方法により納品される、と認定。
     更に原告は被告らを含むスキャン事業者約100社に対し質問書を差し出してスキャン事業を行わないよう警告したが、被告らはこの通知書に対し回答がなかった。
     また、電子ファイル化により有形的再製が完成するまでの利用者と法人被告らの関与の内容、程度等をみると、複製の対象となる書籍を法人被告らに送付するのは利用者であるが、その後の書籍の電子ファイル化という作業に関与しているのは専ら法人被告らであり、利用者は同作業には全く関与してなく、従って法人被告らを複製の主体と認めるのが相当である、と認定した。

  3. 以上のような認定を骨子に裁判所は被告の「自炊代行」業務を著作権侵害行為と判断したものであるが、有償でスキャンしている点、電子ファイル化作業は専ら被告らにおいて行われている点などを鑑みると裁判所の判断は妥当なものと思われる。

     なお、報道によると法人被告らはこの判決は「愛読家にとり不当な判決であり、控訴する」とのことである。
     従って、本判決は未だ確定したものではなく、私としては今後の判断に注目したいと思う。

(担当 弁理士  和田 成則)

注 注目すべき判例について従来判決の要旨部分を抽出・要約して弊所コメントを加えておりましたが、判例23からは事実関係を明確にするため判決全文を掲載して弊所コメントを加えました。ご了承下さい。

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