言わずと知れた事件であり、ジャストシステム(被告)のワープロソフト「一太郎」とグラフィックソフトの「花子」が、松下電器産業(原告)の特許権(特許第2803236号)を侵害しているとして争われた事件です。
主な争点は、「被告製品をインストールしたパソコンに表示される「ヘルプモード」ボタン及び「印刷」ボタンは、本件構成要件にいう「アイコン」に該当するか」という点です。
具体的には、「アイコン」とは、(1)「ドラッグ」ないし「移動」が出来るもの、(2)「デスクトップ上」に配置されるもの、であるか否かが最大の争点であり、「アイコン」が上記(1)ないし(2)のいずれか1つの要件でも必須要件とすると裁判所が判断した場合には、非侵害となるものでありました。
これに対し、裁判所の判断は、(1)明細書、図面の記載からすると、「アイコン」について、移動可能であるものに限定して解釈することは出来ない。(2)明細書、図面の記載からすると、「ウインドウタイトル」というウインドウ内に表示されるものが「アイコン」とされているから、本件発明における「アイコン」がデスクトップ上に配置可能であるものが必要とは言えない。及び出願当時における各種刊行物等から「アイコン」の意義を解釈すると、「アイコン」が、「移動」ないし「ドラッグ」出来るものである、ことや「デスクトップ上」に配置されるものである、と断定することは出来ない。よって、上記(1)、(2)はいずれも「アイコン」を構成する必須要件ではないと判断し、特許権侵害を構成するとしました。
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