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サトウの切り餅事件  知財高裁判決 損害賠償8億円余の支払い命令

判例28 サトウの切り餅事件  知財高裁判決 損害賠償8億円余の支払い命令

   平成23年5月9日   中間判決の口頭弁論終結日
   平成23年9月8日   中間判決言渡日
   平成24年1月31日  終局判決の口頭弁論終結日
   平成24年3月22日  判決言渡

pdfファイル平成23年(ネ)第10002号 特許権侵害差止等請求控訴事件(PDF/316KB)
pdfファイル(原審 東京地方裁判所 平成21年(ワ)第7718号)(PDF/142KB)

<弊所コメント>

  1. 本件のサトウの切り餅事件については、平成23年9月7日中間判決において、被控訴人(佐藤食品工業株式会社)が製造・販売する被告製品が、控訴人(越後製菓株式会社)が有する本件特許第4111382号の特許請求の範囲の請求項1記載の発明の技術的範囲に属し、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない、と判断された。すなわち、侵害論において控訴人の主張が認められ、この中間判決を基礎として損害論に進み、この損害論においても控訴人の主張が認められて、この度の終結判決となったものであります。
  2. この知財高裁の終局判決において、被控訴人のイ号製品(切り餅)の製造・販売の禁止、設備の除去等を認めたほか、控訴人に対し損害賠償金額として8億0275万9264円の支払いを命じたものであります。
  3. 損害賠償金が8億余とその額が極めて高額との印象が強いが、控訴人のイ号製品の売上げ規模から推測すると損害賠償金を8億円余と認定したことは妥当と判断されるとともに、この損害賠償金8億円余中に弁護士・弁理士費用5352万円の含まれていることに注目したい。
  4. 被控訴人は本件の特許権侵害について、(1)特許庁における判定及び原審(東京地裁判決)において被告製品は本件発明の技術的範囲に属しないと判断されたこと、(2)本件特許に係る無効審判請求事件において、本件特許の構成要件Bの解釈について、解釈が異なること(詳細省略)及び本件特許の分割特許(特許第4636616号に関する判定において被告製品が上記特許に係る発明の技術的範囲に属しないと判断されたことをもって、被控訴人は本件発明の技術的範囲に属しないと信ずるにつき相当な理由があった、と主張したが、これら主張は全て退けられた。
  5. 私としては、この知財高裁の判決は首肯しうるところであるが、本件特許の特許請求の範囲第1項の解釈について若干の疑問は禁じ得ない。
  6. この度のこの判決は特許権の有する法的効果を認め、かつ特許権の財産的価値が高額評価されたことは大変有益なことと思います。
  7. この知財高裁判決は平成24年4月2日付けにて最高裁に上告されており、従ってこの判決は未だ確定しておりません。
(担当 弁理士  和田 成則)

注 注目すべき判例について従来判決の要旨部分を抽出・要約して弊所コメントを加えておりましたが、判例23からは事実関係を明確にするため判決全文を掲載して弊所コメントを加えました。ご了承下さい。

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