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立体商標の識別性について

判例27 立体商標の識別性について
pdfファイル判決全文はこちらをご参照ください(PDF/117KB)
平成23年6月29日 判決言渡
平成22年(行ケ)第10253号 審決取消請求事件
平成22年(行ケ)第10321号 承継参加事件
平成23年4月25日 口頭弁論終結

<弊所コメント>

本事案は、立体商標(第20類「肘掛椅子」)について、商標法3条1項3号及び商標法3条2項の該当性が争われ、判決においては、「本願商標は自他商品識別力が無い(商標法3条1項3号に該当する)が、使用によって自他商品識別力を獲得するに至った(商標法3条2項が適用される)」旨判示されました。
 そして、近年、本事案のように立体商標の識別力等について争われた事案は何件かありますが、「自他商品識別力がある(商標法3条1項3号には該当しない)」とされたのはわずか1件です(pdfファイル表1PDF/121KB)。

これらの事例から、立体商標の登録過程においては、出願商標と指定商品/役務との関連性について特に厳格に解釈し、運用がなされていると言えます。
 これは、本事案においても同様であり、判決では「・・・本願商標は,看者に対し,シンプルで素朴な印象,及び斬新で洗練されたとの印象を与えているといえる。・・・本願商標の形状における特徴は,いずれも,すわり心地等の肘掛椅子としての機能を高め,美感を惹起させることを目的としたものであり,本願商標の上記形状は,これを見た需要者に対して,肘掛椅子としての機能性及び美観を兼ね備えた,優れた製品であるとの印象を与えるであろう」と認定したものの「が,それを超えて,上記形状の特徴をもって,当然に,商品の出所を識別する標識と認識させるものとまではいえない。」とされました。
 なお、本願商標の識別力は否定されましたが、判決においては、本願商標に係る原告の

  • 「継続的な使用性(約60年間ほぼ同一形状で世界的に継続販売)」
  • 「販売実績(約60年間で世界にて70万脚販売、日本では1994年以降約97,500脚を販売、家具におけるロングセラー商品)」
  • 「広告宣伝実績(相当の費用を掛けて多数広告宣伝活動や、「形状」を需要者に印象付ける広告宣伝の仕方)」

などが認定され、商標法3条2項の適用によって、ようやく自他商品識別力を認められたものです。
 本事案は、商品の形状や商品自体をモデルにした立体商標は、その登録のハードルが高いことをあらためて知らしめる判決だと言えます。

(担当 弁理士  和田 成則)

注 注目すべき判例について従来判決の要旨部分を抽出・要約して弊所コメントを加えておりましたが、判例23からは事実関係を明確にするため判決全文を掲載して弊所コメントを加えました。ご了承下さい。

参考文献及び参考サイト:
本稿の作成に当たっては、以下の文献・論文・WEBサイト等を参考にしております。
また、参考WEBサイトはリンクが切れている可能性がありますので、ご了承ください。

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