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「仮想店舗」での商標権侵害行為について、通販サイト(楽天市場)の責任は?

判例26 「仮想店舗」での商標権侵害行為について、通販サイト(楽天市場)の責任は?
pdfファイル判決全文はこちらをご参照ください(PDF/2MB)
平成23年(ネ)第10076号 商標権侵害差止等請求事件
平成24年2月14日 判決言渡
(原審・東京地方裁判所平成21年(ワ)第33872号)

<弊所コメント>

  1. 楽天株式会社は「楽天市場」という名称で、複数の出店者からインターネットショッピングモールを運営しており、「楽天市場」では、出店者の各々がウェブページ(出店ページ)を公開し、当該出店ページの「店舗」(仮想店舗)で商品を展示し、販売している。
  2. 1審(東京地方裁判所)では、被告サイト(楽天(株))上の出店ページに登録された商品の販売(売買)の主体は当該出店ページの出店者であって、被告(楽天(株))はその主体ではないとして、原告の請求を棄却したものである。すなわち、1審では原告の主張は認められず、被告(楽天(株))の商標権侵害を否認したのである。
  3. 1審原告はこの判決に承服できず、知財高等裁判所(以下「知財高裁」という)に控訴し、この度の控訴審判決となった次第である。
    控訴審判決では、以下のように判示した。

    (1)ウェブサイトにおいて、複数の出店者が各々のページを開設してその出店ページの店舗(仮想店舗)で商品を展示し、これを閲覧した購入者が所定の手続きを経て出店者から商品を購入することができる場合において、上記ウエブに展示された商品が第三者の商標権を侵害しているときは、商標権者は直接に上記展示を行っている出店者に対し、商標権侵害を主張できることは明らかである。

    (2)そのほかに、ウェブページの運営者が単に出店者によるウェブページの開設のための環境等の整備をするにとどまらず、運営システムの提供、出店者からの出店申し込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店禁止等の管理・支配を行い、出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けているものであって、その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは、その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り商標権者はウェブページの運営者(楽天(株)に相当)に対し、商標権侵害を理由に、出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができる、と判示した。
     すなわち、知財高裁における控訴審においては、東京地裁の判決と異なり、ウェブページの運営者は出店者に対しAに示すような管理・支配を行っているものであるから、商標権者は出店者に対すると同様にウェブページの運営者に対し商標権侵害を主張できる、と判示したものである。

    (3)しかし、この控訴審判決において、ウェブページの運営者は、商標権者から商標法違反の指摘を受けたとき、出店者に意見を聴くなどして、侵害の有無を速やかに調査すべきであり、これを履行している限りは、商標権侵害を理由として差止めや損害賠償の責任を負うことはないが、これを怠ったときは出店者と同様、商標権侵害の責任を負うものと判示した。

    (4)本件事件においては、1審被告である「楽天(株)」は商標権侵害の事実を知った日から8日以内という合理的期間に削除等により訂正したため、「楽天市場」の運営が1審原告の商標権を違法に侵害したとまでということはできない、と判示し、本件控訴を棄却したものである。
     すなわち、本件事件は原則商標権侵害と認められるが、1審被告の対応が早かったため違法性が認められなかったもので、若しその対応が合理的期間を超えていたとすれば商標権侵害と認められたものである。
     本件事件の判決中に「楽天(株)」と出店者との契約書が提示されているが、この契約書を見る限り、「楽天(株)」は出店者を完全に管理・支配していることは明らかであるから、1審判決と異なり、本判決は商品の販売主体は「楽天(株)」にあると判断したものと思料され、私は本判決は妥当と考える次第である。
(担当 弁理士  和田 成則)

 

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